体をケアする生地素材「TERAX」。
女性の健康課題を解決するため、フェムテック分野で果たしたい役割を女性開発者が語る。
東光商事株式会社は、創業90年の繊維専門商社として、アパレル業界・スポーツ業界・テキスタイル業界など、様々な業界との商品開発や企画提案などを行っています。
長年にわたり培ってきた知識と経験を活かし、体のケアを目的にした商品や温活商品、また夏場の暑さ・紫外線対策など様々な悩みを解決できる独自生地素材「TERAX(テラックス)」を開発。
現在では、「TERAX CARETECT」「TERAX HOT」「TERAX COOL」のシリーズを展開し、多くの方にご愛用いただいています。
近年は、女性特有の健康課題を解決するため、フェムテック分野での新商品の開発に注力しています。遠赤外線効果を持つTERAXシリーズが、フェムテック市場においてどのような役割を果たすことができるのか、TERAX開発者の1人である佐藤有美香さんにお話を伺いました。
―TERAXとはそもそもどのような素材なのでしょうか?
一言でいうと、プリント加工の仕方次第で、体を温めることから冷やすことまで出来る独自素材です。
TERAXは、遠赤外線効果の高い特殊な鉱石を主原料に、独自配合でブレンドしたものをパウダー状に粉砕し、生地にプリント加工した生地素材です。TERAX HOTという生地素材では生地の内側にプリント加工し、人体から発生する熱エネルギーを遠赤外線に変えることで、温かさを保つことができます。
一方、TERAX COOLという生地素材では、生地の外側にプリント加工することで、放熱・遮熱のダブル涼感を実現することができました。服と体の間にこもりやすい熱を、効率的に外に逃がすために、生地の表面から段階的に鉱石の濃度差ができるよう特殊なプリント加工をしています。
―TERAXはどういった経緯で開発が始まったのでしょうか?
元々弊社は繊維専門商社でしたので、素材開発部門がなく、弊社独自の商材というものはありませんでした。しかし、色々な企業があるなかで、魅力的な商材がなければ、価格というところで戦うほかなく、他社様との価格競争になってしまいます。価格以外の理由で商材を選んでもらうためには、会社独自の加工や商品が必要になると考えたのです。
一番最初はEV HOTという、モバイルバッテリーを使った発熱保湿ウェアを開発しました。次に、開発を進めているうちに遠赤外線の力で電気などのエネルギーを使わなくとも保温効果が非常に高い鉱石を発見しました。元々電車の室外機の放熱塗料として使われている鉱石だったのですが、この素材を夏物の服にも使ってみようということになり、開発が始まったのです。
―開発中に苦労したことはありますか?
衣料品業界では、鉱石などは繊維に練り込んで加工するのが一般的です。TERAXもはじめは糸に練り込んで加工してみましたが、相性が悪く糸がプチプチと切れてしまい失敗してしまいました。その後も練り込みや薬剤加工なども考えましたが、練り込むと繊維が弱くなってしまい、糸として必要な耐久性が担保できずニーズに合わせた複雑な形状の商品開発が難しかったり、薬剤加工だと洗濯に弱いなどのデメリットが見つかりなかなかうまくいきませんでした。ですがあるとき、生地にプリント加工すると繊維を傷めることなく、遠赤外線の力を引き出せることがわかったのです。
ただ、このプリント加工も技術として確立するまでは長い道のりでした。加工工場にお願いしても、加工難度が高く設計通りに作ることができないのです。しかし諦めることなく何度も何度も試作を行って、ようやく商品としてお売りすることができるレベルまで、加工技術を確立することができました。
技術を確立できたとはいえ、加工には高度なスキルが求められます。そのため、加工工場を認定制にしており、国内に2箇所、中国に3箇所ある認定工場に加工をお願いしています。また、より良い商品をお届けするために、商品製造後に生産ロットごとに品質チェックを徹底し、機能性・頑丈さ・着色の安定性など、社内の基準を満たしたものを販売しています。
―新たにフェムテック分野に挑戦した背景には、どのような経緯があるのでしょうか?
フェムテック分野に参入したきっかけは、お客様からの声が大きな要因でした。
TERAX HOT素材を使った腹巻きなど、体を温める商品を販売していたのですが、商品を買っていただいたお客様から、「便通が良くなった」「生理痛が抑えられた」という感想をいただくことがありました。
開発者の私たちとしては、予想にもしなかった感想でした。これは詳しく検証しないとと思い、メカニズムについて調査すると、体を温める機能が女性特有の悩みに効果があることがわかったのです。単にお腹を温めることを目的として販売していた腹巻きは、便秘がある人が着用すると便通が良くなったり、脚のサポーターは、脚のむくみがとれ、高齢者が歩けるようになったなど、私たちが思っている以上の効果があり驚きました。
こうした声をいただき、もっとたくさんの悩みを抱えた女性に商品を届けたい、女性たちの助けになりたいという思いで、フェムテック分野に挑戦することになったのです。
―実際に展開している商品について教えてください。
現在弊社からフェムテック商品として展開しているのは、サニタリーショーツの「la Caluna(ラカルーナ)」と温活シリーズの「merci mimi(メルシーミミ)」になります。ソックスやレギンス、腹巻き付きレギンスという商品を作っています。
フェムテックでは、温活や妊活といったところを重視して商品展開を行っていますね。女性の体は筋肉が少なく冷えやすい。昔と比べると、食生活や生活様式が変わり、より冷え性の人が増えているといいます。特に妊婦の方は鼠径部が圧迫され脚の血流が悪くなり、より冷えやすくなってしまいます。体が冷えると不妊の問題だったり、女性特有の悩みの発生原因になりえます。そういった問題を解決できるという意味でも、温活という視点が非常に注目されていると思います。
―佐藤さん自身は、TERAXにどのような思いを込めて開発しているのでしょうか?
TERAXは元々医療機器という分類で販売していました。そこから、様々な商品をフェムテック分野や温活商品に活用していこうという流れのなかで、私自身が女性としてリアルに体験している悩みや思いを込めて素材開発をしていきたいと考えています。
「こういうときには、こういう商品が欲しいよね」「ああいう素材があったら助かるな」という女性だからこそわかる体験を含めて発信して、商品に興味や理解を持ってもらいたいですね。とても良い素材を作っているという自信がありますので、ぜひ色々な商品にしていきたいです。
―今後はどういった商品開発をしていきますか?
TERAX HOTとTERAX COOLの両輪を、更に発展させたいですね。
TERAX HOTシリーズでは、フェムテック分野に更に力を入れていきたいと考えています。機能性は十分ですが、それだけだとなかなか女性には手にとって貰い辛いというのも事実です。より多くの女性に届けるためにも、デザイン性など商品の魅力を訴求しながら販売していきたいですね。
また、TERAX COOLシリーズでは熱中症対策商品の開発を更に進めていきたいです。真夏になると異常ともいえる暑さが続いていますよね。普通に生活しているだけでも熱中症になってしまう人がいるほか、過酷な現場で働いている人もいらっしゃいます。放熱・遮熱という機能性のある衣服で、熱中症を予防できる商品を作っていきたいです。
ただ、まだ私たちもわかっていないTERAXの需要があると思っています。私たちはアパレル商品の販売をしていますが、他のジャンルの商品の素材として転用できる可能性も十分あるはずです。より多くのお客様に商品を届け、それぞれの悩みを解決していくためにも、他社様との開発も積極的に進めていきたいと考えています。
―TERAXはどういった経緯で開発が始まったのでしょうか?
元々弊社は繊維専門商社でしたので、素材開発部門がなく、弊社独自の商材というものはありませんでした。しかし、色々な企業があるなかで、魅力的な商材がなければ、価格というところで戦うほかなく、他社様との価格競争になってしまいます。価格以外の理由で商材を選んでもらうためには、会社独自の加工や商品が必要になると考えたのです。
一番最初はEV HOTという、モバイルバッテリーを使った発熱保湿ウェアを開発しました。次に、開発を進めているうちに遠赤外線の力で電気などのエネルギーを使わなくとも保温効果が非常に高い鉱石を発見しました。元々電車の室外機の放熱塗料として使われている鉱石だったのですが、この素材を夏物の服にも使ってみようということになり、開発が始まったのです。
―開発中に苦労したことはありますか?
衣料品業界では、鉱石などは繊維に練り込んで加工するのが一般的です。TERAXもはじめは糸に練り込んで加工してみましたが、相性が悪く糸がプチプチと切れてしまい失敗してしまいました。その後も練り込みや薬剤加工なども考えましたが、練り込むと繊維が弱くなってしまい、糸として必要な耐久性が担保できずニーズに合わせた複雑な形状の商品開発が難しかったり、薬剤加工だと洗濯に弱いなどのデメリットが見つかりなかなかうまくいきませんでした。ですがあるとき、生地にプリント加工すると繊維を傷めることなく、遠赤外線の力を引き出せることがわかったのです。
ただ、このプリント加工も技術として確立するまでは長い道のりでした。加工工場にお願いしても、加工難度が高く設計通りに作ることができないのです。しかし諦めることなく何度も何度も試作を行って、ようやく商品としてお売りすることができるレベルまで、加工技術を確立することができました。
技術を確立できたとはいえ、加工には高度なスキルが求められます。そのため、加工工場を認定制にしており、国内に2箇所、中国に3箇所ある認定工場に加工をお願いしています。また、より良い商品をお届けするために、商品製造後に生産ロットごとに品質チェックを徹底し、機能性・頑丈さ・着色の安定性など、社内の基準を満たしたものを販売しています。
―新たにフェムテック分野に挑戦した背景には、どのような経緯があるのでしょうか?
フェムテック分野に参入したきっかけは、お客様からの声が大きな要因でした。
TERAX HOT素材を使った腹巻きなど、体を温める商品を販売していたのですが、商品を買っていただいたお客様から、「便通が良くなった」「生理痛が抑えられた」という感想をいただくことがありました。
開発者の私たちとしては、予想にもしなかった感想でした。これは詳しく検証しないとと思い、メカニズムについて調査すると、体を温める機能が女性特有の悩みに効果があることがわかったのです。単にお腹を温めることを目的として販売していた腹巻きは、便秘がある人が着用すると便通が良くなったり、脚のサポーターは、脚のむくみがとれ、高齢者が歩けるようになったなど、私たちが思っている以上の効果があり驚きました。
こうした声をいただき、もっとたくさんの悩みを抱えた女性に商品を届けたい、女性たちの助けになりたいという思いで、フェムテック分野に挑戦することになったのです。
―実際に展開している商品について教えてください。
現在弊社からフェムテック商品として展開しているのは、サニタリーショーツの「la Caluna(ラカルーナ)」と温活シリーズの「merci mimi(メルシーミミ)」になります。ソックスやレギンス、腹巻き付きレギンスという商品を作っています。
フェムテックでは、温活や妊活といったところを重視して商品展開を行っていますね。女性の体は筋肉が少なく冷えやすい。昔と比べると、食生活や生活様式が変わり、より冷え性の人が増えているといいます。特に妊婦の方は鼠径部が圧迫され脚の血流が悪くなり、より冷えやすくなってしまいます。体が冷えると不妊の問題だったり、女性特有の悩みの発生原因になりえます。そういった問題を解決できるという意味でも、温活という視点が非常に注目されていると思います。
―佐藤さん自身は、TERAXにどのような思いを込めて開発しているのでしょうか?
TERAXは元々医療機器という分類で販売していました。そこから、様々な商品をフェムテック分野や温活商品に活用していこうという流れのなかで、私自身が女性としてリアルに体験している悩みや思いを込めて素材開発をしていきたいと考えています。
「こういうときには、こういう商品が欲しいよね」「ああいう素材があったら助かるな」という女性だからこそわかる体験を含めて発信して、商品に興味や理解を持ってもらいたいですね。とても良い素材を作っているという自信がありますので、ぜひ色々な商品にしていきたいです。
―今後はどういった商品開発をしていきますか?
TERAX HOTとTERAX COOLの両輪を、更に発展させたいですね。
TERAX HOTシリーズでは、フェムテック分野に更に力を入れていきたいと考えています。機能性は十分ですが、それだけだとなかなか女性には手にとって貰い辛いというのも事実です。より多くの女性に届けるためにも、デザイン性など商品の魅力を訴求しながら販売していきたいですね。
また、TERAX COOLシリーズでは熱中症対策商品の開発を更に進めていきたいです。真夏になると異常ともいえる暑さが続いていますよね。普通に生活しているだけでも熱中症になってしまう人がいるほか、過酷な現場で働いている人もいらっしゃいます。放熱・遮熱という機能性のある衣服で、熱中症を予防できる商品を作っていきたいです。
ただ、まだ私たちもわかっていないTERAXの需要があると思っています。私たちはアパレル商品の販売をしていますが、他のジャンルの商品の素材として転用できる可能性も十分あるはずです。より多くのお客様に商品を届け、それぞれの悩みを解決していくためにも、他社様との開発も積極的に進めていきたいと考えています。